ep.2 夏だし、怖い話でも聞いていってよ(金縛りと女)
こんばんは、村川です。
突然ですが、みなさんは金縛りにあったことはありますか?
金縛り自体は怪奇現象というわけでもないですが、なんとなく怖いですよね。
みなさんも、一度くらいはなったことあるのではないでしょうか。
今日は、金縛りに悩まされていた僕の友達、Aくんの話をしようと思います。
Aくんは大学時代の友達なのですが、浪人生だった時期がある子でした。
Aくん曰く、浪人生は起きている間は常に勉強のことを考えているため、ストレスがいつもかかっていたそうです。
そんなAくんは、頭の疲れか、身体の疲れか、はたまた勉強のストレスか、とにかく、しばしば金縛りにあっていたそうです。
そのうち、Aくんは金縛りにあう時のパターンに気がつきました。
時計の秒針がカチカチ鳴る音も気になっていたAくんは、いつも部屋を無音にして寝ていたそうなのですが、
無音とはいえ、「シーーーーーーーン」としている、無音ゆえの音(?)が、金縛りにあうときは大きくなっていく感覚があるらしいのです。
その感覚がピークに達する瞬間に、ぴきーんと身体が固まってしまう。
身体は動かないのに、目だけはキョロキョロ動かせる。
金縛りの非現実感にAくんはハマってしまいました。
この感覚に気がついたAくんは、金縛りにあうのが少し楽しみになったんです。
あ、きたきた。金縛り、今日しちゃうな。
自分の身体の感覚がつかめなくなる金縛りが、浪人生だったAくんの変わった息抜きになったそうです。
そして、Aくんは自分で金縛り状態をつくることができるようになりました。
目をつむり、無音の音(?)、”静”に耳を研ぎ澄ます。
すると、だんだんその音圧が高まっていき、最後には金縛り状態になる。
寝る前のささやかな楽しみでした。
ある夜の事です。
いつも通り、Aくんは金縛り状態を楽しむために、目をつむり、深呼吸をしました。
しーーーーーーーーーーん と静まり返った部屋の気圧が変わっていく。
金縛り、来る。
身体が固まった状態で、いつも通り目を開けました。
すると、
異様にやせこけ、目をギンギンに開いた女の顔が、
Aくんの顔を凝視して、ニタニタと笑っているのが目に入りました。
女はAくんの体にまたがり、両手をAくんの顔の横について、
傍から見ると、女がAくんを夜這いしているかのような体制にありました。
(一瞬、Aくんは興奮したそうです笑)
女は、ニタニタと不気味にほほ笑むのをやめたかと思うと、今度は一定のリズムでパクパクとなにかを喋っているように口を動かしました。
Aくんは、自分の顔に女の息が吹きかかってくるような生暖かい感触を感じました。
次の瞬間。
女は急に白目を向き、首を無理やり変な角度になるまでかしげ、
「ああああああああああああああああああああああ」
と言って頭を掻きむしりました。
Aくんは突然のことでびっくりしたのと、さすがにいつもの感覚が戻ってきたこともあり、急に怖くなって目をぎゅっと瞑りました。
女の声は次第に小さくなっていきます。
「ああああ.ぁぁぁぁ.....。」
...。
気がつくと、朝になっていました。
「昨日はやけに怖い夢を見たな...」
ぼやけた頭で目をこすると、顔に少しの違和感が。
それをつまんでみると、
細くて長い髪の毛がついてきたのです。
(昨日のは夢じゃなかったんだ...!!)
その日は勉強が手につかず、あっという間に夜になってしまいました。
昨晩のことがあるので、なかなか寝付けません。
それでも無理やり目をつむって、ひつじを数えました。
すると、
しーーーーーーーーーーん という部屋の音圧が、高まっていきました。
(やばい、このままじゃ金縛りになる!)
慌てて目を開けようとしても、まるで接着剤で固められたみたいに、
どれだけ力を入れても目を開けることはできませんでした。
ぴきーーん
と、金縛り状態になりました。
どっどっ、と心臓の鼓動が早くなるのが自分でもわかります。
Aくんは、怖いもの見たさもあり、目を恐る恐る開けてみました。
すると、昨晩と同じように、女がAくんを見下ろして、またニタニタと笑っていました。
そしてまた、口を閉じたかと思うと、パクパクと何か同じことを繰り返して話すように動かし始めました。
(なんて言っているんだ...?)
気になったAくんが、女の口の動きに注目しているとまた、
「あああああああああああああああああ」
と発狂して、女は痙攣しながら自分の頭を搔きむしりました。
最初はその様子を見届けようと思ったAくんでしたが、その異常な光景に耐えられなくなり、結局目を閉じてしまいました。
しかし、昨晩と違って、Aくんが目をつむっても、女の声は聞こえ続けます。
「ああああああああああああああああ」
変に甲高いわけでもなく、かといってしゃがれた声というわけでもなく、
声色はいたって普通。
だからより一層、その異常さが気持ち悪かったそうです。
(なんだよ、はやくいなくなれよ...!)
「あああああ!!!!.......」
声の大きさがどんどん上がっていき、いよいよ耳が痛くなる、というピークの時に、突然声はやみました。
(...ようやくいったか?)
それでもなお、恐怖のうちにいたAくんは、目を開けることができません。
静寂にもどった部屋。
しーーーんとした音圧が、むしろうるさく感じました。
タ....タ.....
なにやら、こそこそ話をするときのような声が聞こえます。
タ...タ...
女の声が、次第にはっきり聞こえるようになりました。
「イタ.... イタ....」
「いたああああああああああああああああああああ」
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金縛りに懲りたAくんは、それ以降寝るときに音楽をかけるようになりました。
今では、無音の部屋で寝るのが怖くなってしまったとのこと。
Aくんは冗談っぽく言います。
「今度無音の部屋で寝るとき、その無音に耳を傾けてみ?」
「来るかもな。女が。」
「いたあああああああああああああああああああ」
って。
※これ以降の文章は読まないことをお勧めします
どうですか、少しは怖かったですか?
実はこれ、僕のオリジナルです(笑)
(もちろん、参考にした既存の怖い話はありますけど)
僕自身、無音の部屋で寝ているのですが、同じように無音でないと寝られない、っていう人は多いですよね。
だから、そんな人が寝るときにこの話を思い出してドキドキしてくれたらなー
という思いで考えました。
またなにか考えついたら第二弾しますね。
ではまた。
あれ、なにか聞こえませんでしたか?
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他にもいろいろ模索中です。興味があればぜひ。
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